パンで鯉 鶴見川水系
ヨーロピアンカープスタイルの撃沈

Angler 柴、市毛、小野

9月も後半。夏も終わりに近づき、秋の訪れを告げるような物静かな夕暮れ時、ふと携帯を見ると市毛先輩から「パン鯉いこうぜ!」とのメールが来ていた。これは行くっきゃない!と思い、すばやく用意をして家を後にした。 パン鯉は僕にとって初めてではない。1週間ほど前に初めて経験し、鯉の引きの強さとパワーをまざまざと見せつけられ一瞬でその虜となってしまった。

今日は市毛先輩と僕、そして急遽柴さんも加わり、3人での釣行となった。道中のコンビニで今日使う食パンを買い、いざ目的地鶴見川へ! 釣り場に着くと鯉の魚影がはっきりと見え、気持ちがはやるのを抑えながら市毛さんと僕は予定通りパンで、柴さんはフライでと各々の準備を始めた。僕たちがパン鯉で使う道具はいたってシンプルで、バスロッドと10ポンドラインを巻いたリール、バーブレスフック、そしてパンのみである。ウキは使わず、ラインを読むか、鯉がパンを喰った瞬間にアワせる。

一足先に準備を終えたパン鯉組は、早速竿をふり始めた。ベールは返さず、糸はフリー。瞬時にアワセができるよう、糸に一定のテンションをかけつつ水流に乗って流れていくパンを目で追っていく。これだけ数がいるのだからすぐさまアタリがあるかと思いきや、いまいち鯉たちの反応が悪いようだ。どうやら先行者に少し場を荒らされてしまったらしい。それでもしばらく辛抱して何度かキャストを繰り返すと、食い気のある鯉たちがパンに食いつき始めた。しかしほぼパン鯉初心者の僕はうまくアワせることができない。

鯉の摂食習性としてエサを吸ったり吐いたりしながら必要なものだけを食べるというものがある。特にエサに違和感を感じたときなどは、吸う速さの何倍もの速さで吐き出すらしく、当然アワセには技術と経験が必要になってくるわけだ。

そんなこんなで僕がアワセに苦戦していた時、市毛先輩にヒット! 竿のしなりとドラグの鳴り方が尋常ではない。これこそがパン鯉の醍醐味だ!と、しばらくそのやりとりに見とれていた僕の竿にもアタリが!しかもアワセに成功した!! よっしゃあぁと思わず声を上げてしまうほどの引きの強さ!しかもその引きは左右に振れたり、飛び上がったりするトラウトやシーバスなどとは違い、何十メートルも一直線に突っ走ってゆくので、巻いてあるラインすべて持っていかれてもおかしくはない。そこで僕は強気にドラグをがっつり締めて、巨大な鯉を寄せてきた。数分間の格闘の末、なんとかネットインに成功!でかい。50、いや60アップはあるだろう。

鯉に感謝しつつ川に返したあと、ふと隣に目をやると市毛先輩もランディングに成功しており、僕の釣りあげたものよりもはるかにでかい!70アップは間違いなくあった。フライでチャレンジしていた柴さんも、さすがコンスタントにいいサイズをあげており、途中巨鯉に目一杯走られラインブレイクというハプニングもあったが満足されていたようだった。かくしてそれぞれ存分にパン鯉、フライを楽しむことができ、日も暮れてきたので午後6時納竿となった。

引きが強い、引きが強いと散々言ってきたが、パン鯉の魅力はそれだけではない。 鯉は環境への適応力が半端ではないから、たいていどこの川にもいる。つまり川さえあればわざわざ遠出せずともいつでもどこでも楽しむことができる。それに、使用する道具が非常にシンプルなので、とりあえず釣り道具一式を持っているならパンを買うだけで出来てしまう。 このように時間的、経済的にも優しいのに非常にエキサイティングな釣りであるパン鯉はしばらく自分のマイブームとなりそうである。




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