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5つの湖を巡る釣り旅 然別湖のミヤベイワナ、ニジマス

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北海道の5つの湖を巡る旅。最後の目的地は、然別湖だった。
この湖の上で、僕は釣りの楽しみの多くを学んできた。

ところで、アイヌの言葉で然別というのは少し解釈が難しい。
然別は<si kari-pee>つまり、シカリッペと発音する。
その訳語は「自分を回す川」となる。


自分を回す川…最初は意味が分からなかった。
言語学者の間でもこの解釈には、確度の高い答えがないらしい。

ただ、有力説はある。この地域では、他の多くの川はまっすぐに南に流れているが、この然別の川だけは蛇のようにうねり流れている。
そこから、自分を回すを意味する、シカリッペと呼ばれたいうものだ。
けったいな言葉もあるものだ。

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今年で解禁15周年を迎える、北海道然別湖。

僕がこの湖にはじめて来たのは、4,5年前のことだが、その時は、今とは別の場所に桟橋があった。
湖へ漕ぎ出す景色は随分と変わったが、ここに集う人たちの、この湖を想う気持ちは変わっていない。

湖や川を、釣り人へ開いて楽しんでもらう。
ただ、その環境整備や、役所や地元住民との調整など、さまざまな苦労もある。
そういった地道な仕事を行い、このフィールドを維持されてきた事務局の方々へ、感謝の気持ちが絶えない。

どちらかというと、数よりも、コンディションの良い魚を釣ることを楽しむ僕は、解禁の込み合う時期は避けてきた。
なので、今回ははじめて、解禁日の湖を釣る。

 

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然別湖の解禁日は例年、6月の頭だった。けれども今年は5月中に解禁した。
ここ数年の温暖化の影響からか、北海道の気温上昇が激しく、水の中の季節進行にあわせたとのことだった。
山の木々はまさに芽吹きの最中で、これから濃い緑に染まっていく。

 

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ミヤベイワナを釣ると、何故か胸の奥がキュンと苦しくなる。
この湖には、答えのないドラマがたくさん眠っていて、毎回僕を新鮮な気持ちにさせてくれる。

解禁当初は、どちからというとフライよりルアーのほうが楽しめる。
ルアーは水中を横に動かすことに長けており、水面を意識したフライの釣りには少し早いのだ。

 

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渓魚を見て「わぁ…キレイ」と思った最初の瞬間が、ミヤベイワナだった。
その美しさは、5年前も今も全然変わっていない。この世のものとは思えない綺麗な翠を見せてくれる。
ちなみにランディングネットは26cm内径、綺麗な枠に美形の魚が映える。

 

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ミヤベイワナを見て、キレイと形容するのは簡単だ。
ただ、心の中にはそれを超える感動がある。その感動をあらわすコトバや知識を身につけないと思っている。
それはライトノベルを読むことでわかるかもしれないし、ヘミングウェイのような文字の美しさ、青さから得られるかもしれない。

 

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こちらはブラウンのミヤベイワナ。
岸沿いで釣れる個体は、こういった土色にそまっている個体が多い。
魚の目を通して入ってくる色が、魚体を染めていくらしい。

 

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グリーンバックの個体と比べても、フィン(鰭)のカタチが違っている。
いわゆるロングフィンの個体もいるのが、ミヤベイワナの特徴になっている。

 

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ミヤベイワナ以外にも、然別湖ではサクラマスやニジマスに出会うことが出来る。
サクラマスに関しては、朱鞠内湖のサクラも好きだが、然別湖のサクラマスはより上品な顔つきをしている。
過去に40センチクラスも釣っているが、綺麗な水に澄む魚は、瞳が濃い。

 

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マラブーに喰いついてきたニジマス。
太陽光でレッドバンドや鱗のギラギラ感が変化する。毎回来るたびに、違う角度から写真を撮っている気がする。

 

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2日間、然別湖で釣りをした。
もっとゆっくりこの湖で釣りができたら。帰り際にはいつもそんな気持ちになる。
きっと、また、来ます。

 

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今回は15周年企画で、然別湖フィッシングクラブが結成された。
素晴らしい釣りの楽しみを、後の世代へつないでいく。それがクラブの一つの目標だ。

村上康成さんの絵本の読み聞かせや、知来要さんの写真講座もあった。
『こぐまのプディ カヌーでスイーコ』の読み聞かせ。
少年の心を忘れている大人には、是非とも呼んで欲しい。

 

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新千歳空港に戻る朝、糠平湖の旧タウシュベツ川橋梁を訪れた。
この湖では、まだ釣りをしていない。また次回に釣りに行きたい場所が増えた。

北海道の5つの湖を巡る旅。
12日間で支笏湖、阿寒湖、屈斜路湖、朱鞠内湖そして然別湖を目的地に、時折、川や渓流に入りながら北海道を1周した。
走行距離は1,927キロ。

次は何を釣ろうか。
思いっきり、この北海道のトラウト釣りを楽しみたい。

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