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Trout bum diaries 朱鞠内湖のイトウ:夢の魚が泳ぐ、湖。No.2

朱鞠内湖no.44(H27.10.21_25)

朱鞠内湖への旅は後半。
初日からの穏やかな天候は去り、冬の冷たい風が吹き付ける条件下での釣りとなった。

朱鞠内湖no.18(H27.10.21_25)

朱鞠内湖には、どこか異世界に来たかのような、不思議な魅力があると思う。
表上は霧に覆われていて、白樺林からまだ太陽はでていない。けれども、空に輝いていたのは月だった。
青い空を穿つような月は、どこか猟奇的のようにも見える。

 

朱鞠内湖no.17(H27.10.21_25)

写真で見る以上に光量があるため、補正をアンダー(暗め)にかける。
数日間、朱鞠内のまわりで写真をとってきたが、一番気になったのは夜に象徴される闇ではなく、太陽の明るさだった。
遮蔽物がない空間で、補正をかけないで油断してシャッターを切ると、すぐに写真が白く飛んでしまった。

 

朱鞠内湖no.28(H27.10.21_25)

3日目にして、イトウが釣れてくれた。
憧れの魚、想い出に残る魚というのは、いつも突然だ。
あきらめかけていた夕暮れに、ブレイク沿いのワンドで出てくれた。

また、この日から3日間は、とあるフライフィッシャーの方と同じ渡船で釣りをする貴重な機会をいただいた。
僕はこの方に学ぶところが非常に多い。

 

朱鞠内湖no.27(H27.10.21_25)

フライであれ、ルアーであれ、僕らが狙っていたのは活性の高い魚であった。
ブレイク下に深く沈んで浮かない魚は最初から切り捨て、あくまで浮上して捕食する個体を狙った。

ディープダイバーを湖面からピックアップした瞬間、ちょうど斜め45度に水面を割って、大きな魚体が飛び出した。
その瞬間は、しまった!と思った。
魚は右へ泳いだか。左へ泳いだか?
湖面を注視すると、右側の湖面がかすかにざわついている。
先ほどの魚が飛び出したことで、他の数匹にスイッチが入ったように見えた。
ルアーをシャローランナーに変えて1投目。すぐに答えは出た。

 

朱鞠内湖no.29(H27.10.21_25)

イトウは、頭部のどう猛さとは裏腹に、蛇のように細い体が印象的な魚だった。
けれども釣れてくれた個体は、たらふく餌をたべているかのような、コンディションの良いイトウであった。

 

朱鞠内湖no.30(H27.10.21_25)

本州では背負うことさえためらってしまう、大きなランディングネットが役に立った。
水中でネットをひるがえし、リリースする。一目散に深場へと帰っていった。

 

朱鞠内湖no.33(H27.10.21_25)

結局この日は、この一匹のみで釣りを終えた。
大型のアメマスが何度か足元でチェイスすることがあったが、深いバイトを誘発することはできなかった。
けれども、いい。

 

朱鞠内湖no.41(H27.10.21_25)

同船したフライフィッシャーの方は、遠征前に読んでいたフライ雑誌で朱鞠内湖について書いておられた、張本人であった。
今回、フライのパターンに関して、さまざまなメディアを参照した。ストリーマー、ゾンカー、フラッシュボーンミノーetc。
その中でも、一番魅かれたのが、フラッシュストリーマーであった。
何とか自分でも巻けそうで、現場での再現性も高いと判断したからだ。

雑誌を参考に針を巻く。けれども、実際に泳がせてみるとうまくいかない。
水面下の切り株を回避するため、キールポジションで巻くのだが、バランスが取れないのだ。
フラッシュストリーマーを考えた張本人に、色々とご相談させていただくと、「一本巻きましょうか?」と。
図々しくも、目の前で1本巻いてもらうことになった。それどころか、様々なカラーバリエーションの針をいただいてしまった。
教えていただいた沢山のことは、これからの自分のフライフィッシングで活かしてゆきたい。

 

朱鞠内湖no.53(H27.10.21_25)

4日目。
この日に渡してもらった島は、岸際に枝葉が張り出し、島づたいに移動するのも難しいエリアであった。
早朝にフライを試すも反応なし。粘るか、移動するか。ここは無理せず、慣れたルアーで移動する作戦に出る。

 

朱鞠内湖no.38(H27.10.21_25)

ほどなくして、雨が降り出した。
最初は頬にポツリとあたる程度だったが、スコールのような大雨に変わるのにさして時間はかからなかった。
おまけに、ポイントの広さに反比例して、良い水の流れが少ない。
時間をかけて移動したものの、結局もと居た場所が一番良いと判断して戻る。

 

朱鞠内湖no.37(H27.10.21_25)

唯一つれたのは、30cm程度のアメマス。
こういった時の1匹は、素直に嬉しいものだ。

 

朱鞠内湖no.40(H27.10.21_25)

1日はあっという間に過ぎてしまった。夕暮れ時に、太陽が顔を出した。
今更かよ、と言いたくなったが、雨の釣りもそれはそれでいい。
6月の魚野川の雨が心地よかったのを思い出すも、もう冬だ。

 

朱鞠内湖no.39(H27.10.21_25)

この湖のどこかに、1メートルを超えるイトウが居るのだとすると、それはどうすれば釣れるのだろうか。
釣りはやればやるほど、難しくなっていく。けれども、それも十分にたのしむことが大事だ。

対岸で釣りをされた、昨晩のフライフィッシャーさんは大きなイトウを2匹かけ、1つを獲られたようだった。
釣れた話を聞き、釣れなかった釣りと比べることも、また学ぶことが多い。

明日の朱鞠内一帯の予報は雪。
最終日は、厳しい釣行が予想された。

 

 

最終日、雪が舞う中での釣りとなった。

昨夜のうちに、雨は雪へと変わったようだ。
朝の渡船の時間はまだ良かったものの、ほどなくして強い北風が吹き荒れた。
14フィートのロッドは風の影響を受け、降ることさえも難しい。
左手にロッドを持ち替え、風の影響を回避してキャストを繰り返す。

 

朱鞠内湖no.43(H27.10.21_25)

地表に立てかけた水温計は、1.5℃。
今年はじめて味わう、冬の感覚。寒い。
体感温度は、-4,5℃といったところか。

もう一つマズイ事情があった。
2日程前から、ウェーダーの一部に浸水が起こっていた。最悪のタイミングだ。
修復の努力もむなしく、後半は全てウェットウェーディングだった。
右足はほぼ全面浸水。左も最終日には、かなりの水が流入していた。
さすがに、この状況でのウェットウェーディングは笑えない。

 

朱鞠内湖no.52(H27.10.21_25)

今のタックルと技術では、高波の中で水面を使ったキャスティングは難しい。
オーバーヘッドでなんとかブレイク沿いまでフライを届けることを繰り返した。
風と波は、写真で見る以上に強い。

 

朱鞠内湖no.51(H27.10.21_25)

ただ、こんな状況下でも魚は捕食する生き物だ。
まったく違った世界に生きる寡黙な生命を、擬人化して考えること自体が間違っているのかもしれない。

釣れてくれたのは、60cmにわずかに届かない綺麗なイトウ。
指先の感覚は既に無く、皮膚が霜焼けになっていた。
ランディングから撮影までフライフィッシャーさんにお任せしてしまった。
もういいよ。お腹はいっぱいだ。そんな気持ちになった。

 

朱鞠内湖no.47(H27.10.21_25)

この後、雪は吹雪に変わり、相談の上でストップフィッシングとなった。
その際、あまり過酷な条件での釣りが、イトウ釣りの思い出となってしまうのもよくないから、と助言いただいた。
最悪の状況での釣りであったが、最高の結果だったと思う。
想い出に残る釣行とはえてして、こういったものかもしれない。

 

朱鞠内湖no.45(H27.10.21_25)

大きなランディングネットと、小さな湖の地図。
お気に入りのフライロッド、リール。

 

朱鞠内湖no.48(H27.10.21_25)

空港への帰路につく前、湖畔に寄った。
渡船で渡っていた人は、全員引き返していたようだ。

もうすぐここには-30℃の冬がやってくる。
次に来れるのはいつだろうか。

今回は、沢山の人に支えられた釣行であった。
壊れたルアーロッドの代用品を見つけてくれた後輩。
タックル選びで相談にのってくださったショップの方。
時間のない中、熱心にキャスティングを教えてくださった先輩方。
現場で、手ほどきしていただいた素晴らしいフライフィッシャー。

そして、この湖と共に暮らし、訪れる人たちを暖かく迎えてくださる、スタッフの皆さま。
一人ひとりの方のご厚意、しっかり覚えています。
本当にありがとうございました。

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