2016年の夏に行った瀬戸内国際芸術祭。
2番目に訪れた島は、豊島。楽しみしていた、豊島美術館に向かった。
瀬戸内国際芸術祭2017 鑑賞ルート
高松港 → 直島 → 宇野港 → 豊島 → 男木島 → 女木島 → 大島 → 高松市内
実のところ、豊島は一番訪れてみたい島だった。
地元の21世紀美術館にも携わった西沢立衛氏、そして内藤礼氏による美術館があったからだ。
AM6:30。宇野港から豊島の玄関口、家浦港までフェリーで20分ほど。
この日は、朝からあいにくの曇り空だったけれど、瀬戸内らしい凪いだ海のおかげで快適な船旅だった。
朝早くどこのお店も開いていない。けれども家浦港近くにある、数少ない喫茶店の前で猫が待っていた。
前日の教訓を活かし、この日はガソリンスタンドで、電動チャリをレンタルする。
直島と比べても、豊島は大きな島だ。おまけに急で、長い坂道が多い。
Big Bambú。
家浦地区から甲生地区へと、反時計回りに島をまわりはじめた。
ゆるやかな坂道を300m程のぼって、そこから一気に下ったところに、船があらわれた。
ナイロンロープを用いて数千本の竹を一本一本手作業で繋ぎ合わせてつくられた巨大な船が、豊島甲生の広大な竹林に浮かぶ。
遠い記憶(塩田千春)。
さらにさらに、海へ向かって坂をくだると見えてきた、懐かしい記憶、遠い記憶。
集落の旧集会場に、使われなくなった木製の建具でトンネル状の立体作品を設置、600枚の建具を集め、地元に暮らす人たちとともに作業を進めた。
トンネルの入り口に立って、まっすぐにフォーカスをあわせる。
訪れたことも無い場所なのに、ある種ノノスタルジアを感じさせる作品。
振り返ると、海がある。
豊穣:海のフルーツ / 豊穣:山の恵み(ケグ・デ・スーザ)。
人が入れる構築物を海藻でつくり、中に音響設備を設営。海藻というより、紫蘇の香り。
つきあたりには、地元産の果物と、その具材で作れる簡単な料理をレシピカード付きで販売している。
豊島八百万ラボ(スプツニ子!)。
八百万ラボは、ある意味なんというか、豊島でも一番ぶっ飛んだ展示だった。
実は、この甲生は、豊島の中でも交通不便地域であり、高齢化率も高い地区になる。
そんな場所に、異色の展示を置いたのは、実験的な意味もこめられているのではないか。
スプツニ子は大好きだ。
アートと科学の融合、遺伝子組み換え蚕がつむぐ「運命の赤い糸」にまつわる作品が展示、上映されている。
物語りは、古事記、豊島に伝わる神話を題材とするが、科学によって具現化されるかもしれない神話の現代的世界をアート、デザインとして提示している。
ラボで流れていた動画がyou tubeで見れるので、興味がある人は是非!
ちょうどお昼前、甲生から唐櫃岡へ一気に移動する。
距離があるため30分近くのライド。山道と海沿いを通り、すばらしい景観だった。しかし、暑い。
訪れたのは8月中旬、気温32℃。体から蒸発する水分量がはんぱない。こまめに水分補給をおこなう。
島キッチン(安部良)。
この日のランチは島キッチンの予定だったが、1時間待ちとのことであきらめた。
バス移動の観光客も多く、ごはん処を探すのも大変だ。
檸檬ホテル(スマイルズ)。
旅で出会った作品群の中で、最も笑えたのが檸檬ホテル。
二人ひと組で入る。ペアが居ない人は待たされる(強制ではない)。
詳細は控えるが、是非とも行っていただきたい。
空の粒子/唐櫃(青木野枝)。
人口減少・高齢化が進むコミュニティににぎわいを与える意図があるという。
豊島の展示では、一貫されたテーマのように思える。
丘を下って、唐櫃浜へ移動。
夏の夏らしい風景が広がる。
勝者はいない─マルチ・バスケットボール(イオベット&ポンズ)。
No one wins. シュートされすぎて、ネットがボロボロだ。
この唐櫃浜を海沿いに進むと、心臓音のアーカイブ(クリスチャン・ボルタンスキー)へ至る。
海辺から、再び山を登り、豊島美術館へ向かう。
ちょうどこの坂を下ったところに、この美術館がある。
豊島美術館(西沢立衛・内藤礼)。写真は受付。
建築的視点、アートの視点からも非常に興味深い美術館。まわりには雑木林が広がる。まわりには鳥のさえずり、波の音。
優しさを感じさせる卵型のドーム内でゆっくり鑑賞する。
どこまでも広がる空の蒼を、あの空間を。地面から湧きだす水の安らぎ。
ささやきの森(クリスチャン・ボルタンスキー)。
この作品に行くのに、ずいぶんと山道を登らされた。森の中で400もの風鈴が風になびき、音を鳴らす。
心地よいが、場所が思いのほか狭かった。
針工場(大竹伸朗)。
島を一周。電動チャリで家浦地区まで戻ってきた。
宇和島の造船所に約30年放置されていた漁船の船体用の木型が、旧メリヤス針製造工場の骨組み内にドカンとある。
あかわらずインパクトが大きい。
この日は、豊島に宿泊した。
写真撮影のために、海辺に向かって歩く。漁港で地元のおじいさんに話しかけられた。
僕は自炊のため肉屋さんを探していたのだけど、今日は定休日らしい。
家浦港に係留された漁船。
夕方、島から帰りの船が出てしまうと、豊島は本来の静けさを取り戻す。
その日の夜。家浦港へ釣りに出かけた。
アジが釣れるとのことで、アジング用のルアーを投げている。
ちょうど地元で釣り人と一緒になり、とぎれとぎれの会話をかわしながら、釣りをする。
釣りを通じた人との出会いというのは、あいかわらず素敵だと思う。
豊島の生活のこと、島の歴史、原発のこと。芸術祭を巡っているだけでは聞くことのできないことばかり。
あいにく釣果のほうはパッとしなかったが、すこしだけ豊島の人達の日常に入れてもらえた、そんな気がした。
PM:11:00まで釣りをして、宿に戻って、ぐっすり寝た。
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